テーマ4 人生に一番大切なもの それは夢
数年前、僕の出た小学校は80周年を迎えました。その祝典で、僕は卒業生を代表し祝辞を述べました。僕の祝辞の前に小学生の先生が話をしましたが、やたらに“夢”という言葉を連発するのです。僕は人生で一番大切なのは夢だと思っているけど、この大切な言葉を余り軽々しく使ってほしくない気持ちがとても強いです。僕は話をすべて変え、夢という言葉を一切使うことなく、祝辞を述べました。夢という言葉に申し訳なく思ったからです。
夢=ドリームと訳しますね。でも、大切にすべき夢は、イマジネーションとかゴールとか訳すべきものなのです。
君たちはいつも夢を持ち、夢を描き、夢と仲良くしてください。ここに力の同じ二人の若者がいるとして、その将来の伸びは強い夢を持っている−持ち続けているほうが必ず人生の勝利者になるでしょう。ただ毎日を漫然と生きたりしてはいけない。将来のため、夢を強く持ち続けるのです。昔、聖人といわれた人は皆同じように“夢を持て”と言っています。福沢諭吉はこんな風に言っています。
“夢を持て。夢は大きければ大きいほどよい。今の自分に比べ、そんな大それた夢持てる訳ないと思う者もここにいるだろう。そんなことはない。大それた夢を持つのだ。人に言えない。とても恥ずかしくて。と思ったら人に言わなきゃいいじゃないか。大きな大きな夢−こうありたいという目標−を持ち続け、自分の胸の中にだけあたため続けろ。必ず実現する。どんなに大きな夢でも。”
僕の場合ですが、一生懸命大きな夢を描くと、−勿論誰にも言わないで−自分が変わってくるのがわかるんです。今晩どうしよう。明日はどうしようと考えるとき、夢を頭に入れておくと、その実現のためにうかうかしてられない。それじゃ、今日はこれをやろうとサボる心が遠ざかるようになります。これが夢を描き続けるよさなのだと思います。
小学校の頃、よく先生から「あまだれ」の教訓を言われました。硬い岩の上にポツン、ポツンの「あまだれ」が落ちます。長い間これが続くと、硬い岩ですらへこんでいきます。更に続くと岩に穴があきます。「あまだれ石がうがつ」というのです。片方は硬い岩、一方は僕たちに落ちても痛くともなんともない小さな水滴です。それでもポツンポツンと毎日、そして何年も続くと岩に穴をあけてしまうのです。このことは君たちだって知っているでしょう。僕の先生はこの教訓を「だから毎日コツコツ勉強しろよ。」という点に結び付け、努力を呼びかけました。それはそれで良いことですが、僕はむしろ「とんでもない大きな夢、人には恥ずかしくて言えない位大きな夢」を毎日毎日、思い続けることにこの教えを使ってほしいです。その方がはるかに大きい事間違いありません。夢を描く、夢を思うだけなら机に向かわなくても、通勤の時でも寝床の中でも出来ます。その上効果が大きいとなったら、こっちを先ずやったほうがいいじゃないですか。何度かやるのをわすれてしまっても、いつからでも又やり始めればいい。かつての夢をもう一度描き続ければよいのです。
誰にとっても一生は一度。であれば、“こうなったらいいな”と君が思う人生を描き、そしてなるよう努力すべきですね。でも今その目標は大きすぎ、遠すぎます。それが少しずつ近づくまで心の中で描き続けてください。
以上